業界別(整骨院)
整骨院コンサルの、
規制と顧問の範囲。
同業の院長から「うちのホームページ、どう直せばいい?」「保険の請求、どうしてる?」と聞かれる場面は多いはずです。ただ、整骨院の広告と療養費には細かな決まりがあり、顧問の助言がそのまま顧問先の違反につながることもあります。この記事では、厚生労働省と自治体の公式情報で確認できた範囲で、顧問として気をつける点と、扱う範囲の線引きをまとめます。
この記事は、コンサル開業支援を提供する株式会社GSホールディングスが書いています。構成と下書きにAIを使い、公開前に数字と制度を出典の一次資料と照合しています。法令の個別の判断は専門家にご確認ください(編集方針)。
最初に結論
整骨院の顧問で注意したいのは、①柔道整復師法第24条と令和7年2月の広告ガイドライン ②柔道整復療養費(健康保険)の請求 ③整体院など無資格の業態との違いの3つです。広告やWebの助言は「広告できる事項」の範囲で行い、療養費の請求方法は指南しないのが安全です。顧問の範囲は経営・採用・教育・数字の見方に絞り、個別の判断は保健所・地方厚生局・弁護士などにつなぎましょう。
自分の業界で成り立つか、10問の準備度診断(無料)で確かめる →
整骨院の顧問で押さえる3つの決まり
整骨院の顧問を始めるなら、広告・療養費・無資格の業態との違いの3つを先に押さえます。どれも、院長自身は知っていても、助言する立場になると説明の正確さが問われる分野です。
整骨院・接骨院は、国家資格の柔道整復師が施術を行う施術所です。厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和6年末の就業柔道整復師は78,666人で前回(令和4年末)より1,034人増えました。一方、柔道整復の施術所は50,924か所で、前回から8か所の増加にとどまっています。
出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」。
施術所の数がほぼ横ばいのなかで、各院は集客や採用で工夫を求められています。だからこそ、勝ち方を作ってきた院長の経験には相談の価値があります。ただし、集客の助言は広告の決まりと、売上の話は療養費の決まりと、すぐ隣り合わせになります。
| 分野 | 主な決まり | 顧問で関わる場面 |
|---|---|---|
| 広告 | 柔道整復師法第24条、あはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月) | 看板・チラシ・Web・SNS・広告運用の助言 |
| 療養費 | 健康保険の療養費、受領委任の取扱い | 売上の分析、受付の流れ、メニュー設計 |
| 無資格の業態 | 医業類似行為の取扱い(国の通知) | 整体・自費メニューの名前や説明の仕方 |
柔道整復師法第24条と、令和7年2月の広告ガイドライン
柔道整復の施術所の広告は、法律で決められた事項しか出せません。技能・施術方法・経歴は、広告できない事項です。
柔道整復師法第24条第1項は、何人も、文書その他いかなる方法によるかを問わず、次の事項以外を広告してはならないと定めています。
| 区分 | 広告できる事項 |
|---|---|
| 法律(第24条第1項) | 柔道整復師である旨と氏名・住所/施術所の名称・電話番号・所在場所/施術日または施術時間/厚生労働大臣が指定する事項 |
| 大臣が指定する事項(告示) | 「ほねつぎ(又は接骨)」/施術所の開設届出をした旨/医療保険療養費の支給申請ができる旨(脱臼・骨折の患部の施術は、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)/予約に基づく施術/休日・夜間の施術/出張による施術/駐車設備に関する事項 |
同条第2項では、広告する場合も柔道整復師の技能、施術方法または経歴に関する事項にわたってはならないとされています。
この内容を具体的にしたのが、厚生労働省が令和7年2月18日に示した「あん摩業、マッサージ業、指圧業、はり業、きゅう業若しくは柔道整復業又はこれらの施術所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針」(あはき・柔整広告ガイドライン)です。顧問として押さえたい要点は次のとおりです。
- 広告かどうかの判断:誘引性(患者を呼び込む意図)、特定性(院名などが分かる)、認知性(一般の人が見られる)の3つをすべて満たすものが広告として扱われます。
- 対象は院だけではない:何人も規制の対象とされ、広告代理店やインフルエンサーなども含まれるとされています。顧問として広告づくりに関わるあなたも例外ではありません。
- 広告できない例:「慢性病の根本治療」「高い技術」「唯一の技術」のような技能の表現、施術方法の特徴、学歴・研修歴などの経歴。
- 名称の注意:「整体」「カイロプラクティック」「クリニック」「リハビリ」を含む名称や、「骨盤矯正」「小顔矯正」「姿勢改善」のように効能を含む名称は、広告できない例に挙げられています。
- 保険の表示:「各種保険取扱い」「労災保険取扱い」「自賠責保険取扱い」「交通事故取扱い」は広告できない例です。「どんなお客様も医療保険療養費支給申請ができます。」は誇大広告の例とされています。
- 体験談:患者が自分から書いた口コミは原則として広告に当たりませんが、院が依頼したり謝礼を出したりしたものは広告として扱われます。
ガイドラインでは、違反の広告に指導しても改善されない場合などに告発を検討するとされ、罰則は30万円以下の罰金と示されています。「施術料金」も広告できる事項の一覧には入っていない点に注意してください。
顧問先のWebサイト・SNS・広告運用を助言するときの注意
院のWebサイトは原則として広告に当たりませんが、ネット広告やSNSは広告として扱われ得ます。助言では、この線引きを顧問先と共有することから始めます。
ガイドラインでは、Webサイトは利用者が自分で検索して見るものなので、原則として広告規制の対象にならないと整理されています。ただし、次のものは3つの要件を満たせば広告として扱われます。
- バナー広告、検索連動の広告、費用を払って上位に表示させた検索結果
- 掲載料を払っている口コミサイトやランキング、施術所紹介サイトの紹介ページ
- SNSでの書き込み(公開範囲を限っていても、広がることがあるため対象になり得る)
- 動画広告
さらに、バナー広告などからリンクしている院のWebサイトも、広告と一体の関係にあるとして、要件を満たせば広告として扱うとされています。顧問先にネット広告を勧めるなら、リンク先のページは「広告できる事項」の範囲で作る前提で考えます。
広告に当たらないWebサイトにも、ガイドラインは望ましい書き方を示しています。
- 載せるとよいこと:問い合わせ先、自費施術の内容と通常かかる費用、自費施術の主なリスクや副作用。利点に比べて極端に小さな文字にしないこと。
- 載せるべきでないこと:虚偽や証明できない内容、他院との比較で優れていると示すもの、誇大な表現、早く受けるよう過度にあおる表現や費用の過度な強調、根拠の乏しい情報で不安をあおるもの、品位を損ねるもの、他の法令で禁止されるもの。
顧問として助言するときは、「この表現は広告できる事項か」を一つずつ確かめる手順を顧問先と共有しておくと、院のスタッフや外注先が作る原稿もそろえやすくなります。判断に迷う表現は、施術所の所在地を管轄する保健所に確認するよう案内してください。福岡市のように、広告の相談窓口を公式ページで示している自治体もあります。
療養費の仕組みと、顧問が請求方法を指南しない理由
柔道整復の療養費は対象となるけがが決まっており、請求の方法そのものは顧問の扱う範囲から外すのが安全です。
厚生労働省によると、整骨院・接骨院で健康保険の対象になるのは、骨折、脱臼、打撲および捻挫(いわゆる肉ばなれを含む)の施術です。骨折と脱臼は、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意が必要です。単なる肩こりや筋肉疲労などへの施術は対象外で、全額自己負担になります。病院などで同じけがの治療を受けている間の施術も、保険の対象になりません。
療養費は本来、患者がいったん全額を払い、後で保険者に請求する「償還払い」が原則です。柔道整復では例外として、患者が自己負担分だけを払い、残りを柔道整復師が患者に代わって請求する「受領委任」が認められています。
受領委任の取扱いは、地方厚生局などとの協定や契約で決められています。厚生局が掲載している協定書の様式には、次のような内容があります。
- 違法な広告で患者を自院に誘引してはならない
- 健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益の提供で、患者を誘引してはならない
- 請求内容に不正または著しい不当の事実が認められたときなどは、受領委任の取扱いを中止できる
- 中止を受けた人は、原則として中止後5年を経過するまで登録が認められない
実際に、九州厚生局と長崎県は令和7年12月、柔道整復師の資格を持たない人の施術を柔道整復師の施術として請求していた事案で、受領委任の取扱いを中止相当とし、原則5年間認めない措置を公表しています。
このように、請求は施術録や患者の状態と結びついた、資格者本人の責任の重い業務です。顧問が「この部位で、こう書けば通る」と助言すれば、顧問先を不正請求に近づけかねません。顧問で扱うのは保険と自費の売上の比率を一緒に見る、受付での説明の流れを整えるといった経営の側面までにします。請求の個別の判断は、地方厚生局や所属団体、保険者に確認するよう案内しましょう。
整体院との違い、医業類似行為と「治る」表現の注意
整骨院は国家資格の施術所で、整体院は国の資格制度がない業態です。顧問先がどちらかで、使える言葉も扱いも変わります。
静岡県の公式ページでは、あん摩マッサージ指圧、はり、きゅう、柔道整復は法律で免許が必要な行為で、無免許で業として行えば処罰の対象になると説明されています。一方、カイロプラクティックや整体などの民間療法は、国の資格制度がない医業類似行為とされています。同じページでは、平成3年の国の通知をもとに、こうした施術が医学的な観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止・処罰の対象になると案内しています。
| 項目 | 整骨院・接骨院 | 整体院 |
|---|---|---|
| 施術者 | 柔道整復師(国家資格) | 国の資格制度はない |
| 健康保険 | 対象のけがは療養費の対象になり得る | 対象外 |
| 広告の決まり | 柔道整復師法第24条とガイドライン | 柔道整復の施術所の広告規制とは前提が異なる。効果の表現には景品表示法なども関係し得る |
| 顧問で注意すること | 広告できる事項、療養費の請求に踏み込まない | 柔道整復などの免許が必要な行為をうたわない、効果を断定しない |
「治る」「根本改善」といった言葉は、どちらの業態でも慎重に扱います。ガイドラインでは、電話番号の語呂合わせ「3776(みな治る)」でさえ、広告できない事項を暗示するため不可とされています。整骨院が自費の整体メニューを出す場合も、「整体」を院の名称に入れることは広告できない例に挙がっています。整体院の場合でも、効果を断定する表現は景品表示法の優良誤認などが問題になり得ます。
静岡県のページでは、施術を続けても腰痛などが改善しない場合は、施術を中止して医療機関で検査を受けるよう促しています。顧問としては「改善しない患者さんを医療機関につなぐ流れ」を院の仕組みに入れる助言が、院の信頼を守ることにもつながります。顧問先の業態や表現が法令に触れないかの個別の判断は、保健所や弁護士に確認してください。
顧問の範囲の線引き表:扱う・つなぐ・扱わない
顧問の範囲は「経営の仕組みづくり」に絞り、資格や行政の判断が必要なことは専門家につなぎます。始める前に、下の3つに分けて書き出しておきましょう。
| 区分 | 内容の例 |
|---|---|
| 扱ってよいこと | 経営数字の見方(患者数・来院頻度・自費と保険の比率)、採用の進め方、新人教育の仕組みとマニュアル、受付・予約の流れ、自費メニューの説明の型づくり(内容・費用・リスクを伝える)、スタッフ評価の考え方、院長の時間の使い方 |
| 専門家につなぐこと | 就業規則・労務・助成金(社会保険労務士)、税務・決算(税理士)、契約や表現の法的判断(弁護士)、広告の可否(施術所所在地の保健所)、受領委任・療養費の取扱い(地方厚生局・所属団体・保険者) |
| 扱わないこと | 療養費の請求方法の指南、施術録の書き方の指示、患者への施術や診断に関わる判断、「治る」など効果を断定する広告文の作成、患者紹介への対価の仕組みづくり |
「自費メニューの説明の型づくり」は、ガイドラインがWebサイトに載せることが望ましいとする「施術内容・通常の費用・主なリスク」をそろえて伝える形にすると、顧問先にとっても説明しやすくなります。
線引きは、初回面談の時点で顧問先に見せておくのがおすすめです。「それは保健所に確認しましょう」と言える顧問のほうが、長く信頼されます。顧問先の院長が何に悩みやすいか、商品の作り方は整骨院の院長がコンサルを始めるにはで、顧問料の決め方は整骨院向けコンサルの商品と顧問料で解説しています。
自分の顧問サービスの広告と、契約書に書いておくこと
あなた自身の顧問サービスの広告では、成果を約束しないことが基本です。そのうえで、顧問の範囲と免責を契約書に書いておきます。
消費者庁によると、景品表示法は、サービスの内容を実際より著しく優良であると示す表示(優良誤認表示)を禁じています。消費者庁は表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、出せなければ不当表示とみなされる仕組みもあります。「顧問先の患者数が◯倍に」のような表現は、根拠がなければ使わないようにしましょう。
契約書には、次の点を入れておくと安心です。
- 顧問の範囲(上の表の「扱ってよいこと」)と、対象外の業務(療養費の請求、法律・税務の個別判断など)
- 専門家や行政の確認が必要な事項は、顧問先が自ら確認すること
- 広告やWebの最終的な掲載判断と責任は、顧問先にあること
- 成果を保証しないこと、損害賠償の上限
契約書の項目全体は顧問契約の始め方にチェック表があります。最初の1本は弁護士に確認してもらうと安心です。
規制を踏まえた顧問の形は、ここまでの手順で自分で作れます。そのうえで「同業の院長に見つけてもらう集客の仕組み」まで任せたい方向けの選択肢もあります。当社(株式会社GSホールディングス)では、財務コンサルとの立ち上げ支援と、記事・LP・無料診断・LINE・面談予約などの集客システムの構築・運営をセットにした整骨院の院長向けコンサル開業支援をご用意しています(月30万円〜・税別、広告費は別)。30分のオンライン無料相談では、その場で契約を求めることはありません。
よくある質問
整骨院のホームページに施術方法や院長の経歴を載せてもよいですか?
ガイドラインでは、院のWebサイトは原則として広告規制の対象ではないと整理されています。ただし、ネット広告からリンクしているページは広告として扱われ得て、その場合は技能・施術方法・経歴は広告できません。広告に当たらないページでも、誇大な表現や他院との比較は載せるべきでないとされています。迷う場合は管轄の保健所に確認してください。
「各種保険取扱い」や「交通事故対応」と看板に書けますか?
ガイドラインでは、「各種保険取扱い」「労災保険取扱い」「自賠責保険取扱い」「交通事故取扱い」は広告できない例とされています。広告できるのは医療保険療養費の支給申請ができる旨で、脱臼・骨折の患部の施術は医師の同意が必要な旨を明示する場合に限られます。
顧問として療養費の請求について助言してもよいですか?
請求の方法そのものを指南することはおすすめしません。療養費の請求は資格者本人の責任が重く、不正や著しい不当があれば受領委任の取扱いの中止につながります。顧問では売上の比率や受付の流れなど経営面にとどめ、個別の取扱いは地方厚生局や所属団体、保険者に確認するよう案内してください。
整体院の院長にも同じ顧問サービスを提供できますか?
経営・採用・教育の仕組みづくりは共通して扱えます。ただし整体院は国の資格制度がない業態で、健康保険は使えず、柔道整復などの免許が必要な行為はできません。広告の決まりも整骨院とは異なるため、業態に合わせて助言の内容を分け、個別の判断は保健所や弁護士に確認してください。
令和7年2月の広告ガイドラインは誰に関係しますか?
ガイドラインでは、何人も広告規制の対象とされ、施術所だけでなく広告代理店やインフルエンサーなども含まれるとされています。顧問として院の広告づくりに関わる場合も、内容を理解しておく必要があります。
自分の顧問サービスの広告で「売上アップ」と書いてもよいですか?
根拠なく成果を約束する表現は避けましょう。景品表示法は、サービスの内容を実際より著しく優良と示す表示を禁じています。取り組む内容や進め方を具体的に書くほうが、信頼にもつながります。
NEXT STEP
業界の経験に、財務の目を。信頼されるコンサル事業を、2人で始める。
現場は社長、数字は財務コンサル。2店舗目や資金繰りまで相談に乗れる顧問サービスにして、顧問先を集める仕組みと立ち上げの助言は当社が担当します。月30万円〜(税別)・広告費は別。事例づくりにご協力いただける先着3社は、2年契約で初期費用0円です。