契約

顧問契約の始め方と、
契約書で決めること。

顧問契約の解説の多くは「依頼する側」向けです。この記事は、顧問サービスを「提供する側」の社長向けに、範囲・回数・期間・料金・解約をどう決めて契約書に書くかを、順番にまとめました。

執筆:長尾孝太郎(株式会社GSホールディングス 代表) / 最終更新: / 10分で読めます

この記事は、コンサル開業支援を提供する株式会社GSホールディングスが書いています。構成と下書きにAIを使い、公開前に数字と制度を出典の一次資料と照合しています。法令の個別の判断は専門家にご確認ください(編集方針)。

最初に結論

顧問契約は、①範囲 ②回数 ③連絡手段 ④期間 ⑤料金の5つを先に決め、それを契約書の条文に落とすところから始めます。コンサルの顧問契約は、成果の完成を約束しない「準委任」の形で作るのが一般的です。あわせて自動更新と中途解約のルールを決め、印紙税とフリーランス法の扱いを確認してから契約を結びましょう。

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顧問契約とは:委任・準委任と請負の違い

顧問契約は、助言や相談対応という「業務をすること」を約束する契約で、多くは準委任として作ります。

委任は、法律行為(契約の締結など)を任せる契約です。準委任は、それ以外の事務、たとえば経営の助言や相談対応を任せる契約です。これに対して請負は、「仕事の完成」を約束し、完成したものに報酬を払う契約です。

項目準委任(顧問契約)請負
約束すること助言・相談対応などの業務を行う決めた仕事を完成させる
報酬の対象業務を行ったこと(毎月の顧問料)完成した成果物
成果が出なかったとき注意を尽くして業務をしていれば、原則として報酬は発生完成しなければ報酬を請求しにくい
コンサルでの例月2回の面談、随時の相談、数字の振り返り事業計画書の作成・納品、マニュアルの制作

注意したいのは、契約書の名前ではなく中身で判断されることです。「顧問契約書」という名前でも、「売上を◯%上げることを保証する」「計画書を完成させて納品する」と書けば、請負の性格が強くなります。国税庁も、印紙税の判断は文書の名称ではなく、記載された内容の実質で行うとしています。

顧問として約束するのは「取り組みの内容」までにし、成果の数字は約束しない書き方にしておくと、後のトラブルを防ぎやすくなります。

契約前に決める5つ(範囲・回数・連絡手段・期間・料金)

契約書を作る前に、5つの条件を紙1枚の「サービス内容表」にまとめます。これがそのまま契約書の中身になります。

  1. 範囲:やることと、やらないことを書きます。やらないことの例は、税務申告、法律相談、現場での作業、人材の紹介などです。資格が必要な業務は、税理士・弁護士・社労士などにつなぐと書いておきます。
  2. 回数:面談は月何回・1回何分か。オンラインか対面か。使わなかった回を翌月に繰り越せるか。追加の面談はいくらか。
  3. 連絡手段:LINE・メール・チャットのどれを使うか。受付時間と返信の目安(例:2営業日以内)。電話は予約制にするか。
  4. 期間:最初の契約期間と開始日。取り組みの効果が見え始めるまでの時間を目安に決めます。
  5. 料金:月額、税込か税別か、支払日、支払方法、振込手数料の負担。交通費や資料代、広告費などの実費をどちらが持つか。

特に「連絡手段」は決め忘れが多い項目です。「いつでも相談できる」と受け取られると、夜間や休日の連絡が増え、顧問先が増えたときに対応しきれなくなります。

月額の金額そのものの決め方は顧問料の決め方と相場で解説しています。この記事では、決めた条件を「契約の形」にする方法に集中します。

契約書に入れる項目チェック表

契約書には、5つの条件に加えて、秘密保持・責任の範囲・解約などのルールを入れます。下の表で抜けがないか確認してください。

項目書く内容抜けると起きやすいこと
目的・業務の範囲支援する内容と、対象外の業務範囲外の依頼が増える
業務の方法面談の回数・時間・場所、連絡手段、返信の目安際限のない相談対応
報酬と支払い月額、消費税、支払日、支払方法、振込手数料入金の遅れ・金額の行き違い
実費交通費・資料代・広告費などの負担と精算方法立て替えた費用の精算でもめる
契約期間・更新開始日、期間、自動更新の有無、更新しない場合の通知期限いつ終わるのか分からない
中途解約予告期間、解約月の報酬、前払い分の扱い急な解約で翌月の売上が消える
秘密保持知り得た情報の扱い、契約終了後も守る期間顧問先の不安・信頼の低下
資料の権利渡した資料やひな形を顧問先が使える範囲独自のノウハウを他社に転用される
責任の範囲成果を保証しないこと、損害賠償の上限結果が出ないことへの責任追及
再委託財務コンサルなど他の人に一部を任せる場合の扱い無断で外部に任せたと言われる
反社会的勢力の排除・協議・裁判所排除の確約、争いになったときの話し合いと管轄問題が起きたときの手順がない

ネット上のひな形を使う場合も、自分のサービス内容に合わせて書き直す必要があります。最初の1本は、弁護士に確認してもらうと安心です。立ち上げ前に決めておくことの全体は、立ち上げ準備チェックリストでも確認できます。

期間・自動更新・中途解約の決め方

期間のルールは、「最初の契約期間」+「自動更新」+「◯か月前の予告で解約」の3点セットにするのが基本です。

最初の契約期間は、顧問先が効果を実感し始めるまでの時間を目安に決めます。短すぎると、取り組みが形になる前に契約が終わってしまいます。

自動更新は、たとえば次のように書きます。

  • 「期間満了の1か月前までに、どちらからも書面またはメールで申し出がないときは、同じ条件でさらに◯か月更新し、以後も同様とする」

中途解約は、次の3点を決めておきます。

  • 予告期間(例:解約したい月の1か月前までに通知)
  • 解約する月の顧問料を日割りにするかどうか
  • 前払いの料金や初期費用を返すかどうか、返すならいくらか

準委任の契約は、法律上いつでも解除できるのが原則とされています。だからこそ、予告期間や精算方法を契約書で具体的に決めておくことが大切です。最低契約期間や途中解約時の支払いを設ける場合は、面談の段階で説明し、書面に残しましょう。金額の妥当性は弁護士に確認してください。

また、フリーランス法では、従業員を使用する発注事業者が6か月以上業務を委託している場合、契約を解除するときや更新しないときは、少なくとも30日前までに予告する必要があるとされています。予告期間を30日以上にそろえておくと、どちらの立場になっても整理しやすくなります。

印紙税・インボイス・フリーランス法の注意

この3つは「契約の中身」と「相手との関係」で扱いが変わります。分かっている範囲を押さえ、最後は専門家に確認するのが安全です。

印紙税:国税庁によると、印紙税がかかるのは法律で定められた20種類の文書で、該当するかは文書の名称ではなく記載内容の実質で判断されます。顧問契約書で関係しやすいのは次の2つです。

  • 請負に関する契約書(第2号文書):仕事の完成を約束する内容の場合。記載された契約金額が1万円以上100万円以下なら200円など、金額に応じて税額が決まり、金額の記載がない場合は200円です。
  • 継続的取引の基本となる契約書(第7号文書):営業者間で請負などを継続して行う基本契約で、単価や支払方法などを定めるものなどが対象で、1通4,000円です。ただし、契約期間が3か月以内で更新の定めがないものは除かれます。

成果物の納品を含めるか、自動更新を付けるかなどで判断が変わる可能性があります。契約内容によって判断が変わるため、税務署や税理士に確認してください。

インボイス:顧問先が仕入税額控除を受けたい場合、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)かどうかを確認されることがあります。登録は申請が必要で、効力は税務署長が登録した日から生じます。登録するかどうかや請求書の書き方は、税理士に相談しましょう。

フリーランス法:2024年11月1日に施行されました。対象の「フリーランス」は、業務委託の相手方で従業員を使用しない事業者です。顧問サービスでは、あなたが受ける側にも、頼む側にもなり得ます。

よくある形考え方の目安
社長個人(従業員なし)が顧問を受けるあなたがフリーランス側。顧問先(発注事業者)に取引条件の明示義務。顧問先に従業員がいれば、支払期日の設定なども対象
従業員のいる会社で顧問を受ける受ける側はフリーランスに当たらない
財務コンサル(従業員なしの個人)に一部を任せるあなたが発注事業者。取引条件を書面やメールで明示する義務。あなたに従業員がいれば、支払期日などの義務も

取引条件として明示する事項は、給付の内容、報酬の額、支払期日、双方の名称、委託した日、サービスの提供を受ける日・場所など9つです。従業員を使用する発注事業者は、給付を受け取った日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を決める必要があるとされています。これらを契約書に入れておけば、どちらの立場でも条件がはっきりします。実際に適用されるかは個別の事情で変わるため、公正取引委員会の特設サイトやQ&Aで確認してください。

初回面談から契約までの流れ

契約は「面談で条件を説明 → 書面で確認 → 締結」の順に進め、口頭だけで済ませないのが基本です。

  1. 初回面談:相手の現状と一番の悩みを聞く
  2. サービス内容表の提示:範囲・回数・連絡手段・期間・料金の5つを見せて説明する
  3. 見積と契約書案の送付:メールで送り、解約と更新のルールも読んでもらう
  4. 確認と修正:相手の質問や修正の希望に答える
  5. 締結:紙で結ぶ場合は、印紙が必要かを事前に確認する
  6. 開始:最初の面談日を決め、初回の請求書を出す

最初の数社は、どこで質問が出たか、どの条文を直したかを記録しておきます。そうすると、契約書とサービス内容表の「型」ができ、2社目以降の契約がスムーズになります。事業の立ち上げ全体の手順は同業向けコンサルの始め方にまとめています。

契約の形は自分で作れます。一方で、「同業の社長に見つけてもらう集客の仕組み」まで手が回らない場合の選択肢として、当社のコンサル開業支援があります。立ち上げコンサル(代表と、経験のある財務コンサル)と、記事・LP・無料の経営診断・LINE・面談予約などの集客システムの構築・運営をセットで行います(月30万円〜・税別、広告費は別、標準2年契約)。30分の無料オンライン相談では、その場で契約を求めることはありません。

よくある質問

顧問契約書は自分で作ってもいいですか?

作れます。ひな形を使う場合も、業務の範囲・回数・連絡手段・期間・料金・解約のルールを自分のサービスに合わせて書き直してください。最初の1本は弁護士に確認してもらうと安心です。

顧問契約書に収入印紙は必要ですか?

契約書の中身によって変わります。国税庁は、文書の名称ではなく記載内容の実質で判断するとしています。仕事の完成を約束する内容なら請負に関する契約書、継続的な取引の基本契約に当たれば継続的取引の基本となる契約書に該当することがあります。判断が分かれるため、税務署や税理士に確認してください。

自動更新にしても問題ありませんか?

自動更新は一般的な書き方です。期間満了の何か月前までに申し出れば更新しないで済むのかを明記し、面談でも説明しておくと、行き違いを防げます。

顧問先から急に解約を言われたらどうなりますか?

契約書で決めた予告期間と精算方法に従います。予告期間や解約月の報酬の扱いを決めていないと話し合いになりやすいため、契約時に決めておくことが大切です。

個人で顧問を受けると、フリーランス法の対象になりますか?

従業員を使用しない事業者として事業者から業務を受ける場合は、フリーランスに当たる可能性があります。その場合、発注する顧問先に取引条件の明示などの義務があります。個別の事情で変わるため、公正取引委員会の特設サイトで確認してください。

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