開業手続き

コンサル開業の手続きを、
順番どおりに整理する。

同業の社長向けにコンサルを始めると決めたら、次は手続きです。この記事では、開業届・青色申告・屋号・税金・インボイスの基本と、コンサル業ならではの注意点を、国税庁と自治体のページで確かめた内容をもとに整理します。

執筆:長尾孝太郎(株式会社GSホールディングス 代表) / 最終更新: / 10分で読めます

この記事は、コンサル開業支援を提供する株式会社GSホールディングスが書いています。構成と下書きにAIを使い、公開前に数字と制度を出典の一次資料と照合しています。法令の個別の判断は専門家にご確認ください(編集方針)。

最初に結論

コンサル開業は、①個人で始めるか今の会社の新事業にするかを決める → ②開業届と青色申告の承認申請を期限内に出す → ③屋号・口座・契約書を用意する → ④税金とインボイスの方針を決めるの順に進めます。会社を経営している社長なら、新しく個人で開業せず、今の会社の事業として始める選択肢もあります。税金の扱いは状況で変わるため、最後は税理士に確認してください。

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個人で始めるか、既存の会社の新事業で始めるか

すでに会社を経営しているなら、まず「個人で新しく開業するか」「今の会社の新しい事業にするか」を決めます。ここで、この後の手続きがほぼ決まります。

今の会社の事業として始める場合、個人の開業届は原則いりません。その代わり、会社の定款の「目的」にコンサル業が入っているかを確認します。入っていなければ、定款の変更と登記が必要になる場合があります。司法書士に確認しましょう。

比べる点個人で新規開業既存の会社の新事業
主な手続き開業届・青色申告の承認申請など定款の目的の確認(必要なら変更)
お金の管理本業と完全に分けやすい部門で分けて管理する
信用・契約個人名か屋号で契約会社名で契約できる
赤字のとき個人の所得として扱う会社の本業の利益と合わせて扱う
向いている例本業と切り離したい、将来別会社にしたい会社の信用を使いたい、手続きを減らしたい

一般的な比較です。どちらが有利かは所得や会社の状況で変わるため、税理士に確認してください。

なお、役員報酬を受けている社長が個人でも事業を始めると、確定申告が必要になります。迷う場合は、両方の案で税金と手間を税理士に試算してもらうと判断しやすくなります。商品の決め方から知りたい方は同業向けコンサルの始め方もあわせてご覧ください。

開業届と青色申告の期限

個人で始める場合は、開業届と青色申告の承認申請書を、それぞれの期限までに税務署へ出します。どちらも国税庁のページで期限を確認できます。

書類提出期限(国税庁の案内)
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税の青色申告承認申請書原則、青色申告をしようとする年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合は、事業開始等の日から2か月以内
青色事業専従者給与に関する届出書(家族に給与を払う場合)原則、その年の3月15日まで。1月16日以後に開業した場合などは、その日から2か月以内
給与支払事務所等の開設届出書(人を雇う場合)開設の事実があった日から1か月以内

出典:国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」。期限が土日祝日の場合は翌日になります。

開業届の期限は、古い解説記事と書き方が違うことがあります。提出前に、国税庁のページで最新の案内を確かめてください。提出先は納税地を所轄する税務署で、e-Taxでも書面でも出せます。

開業届の「職業」欄は「経営コンサルタント」など、実際の仕事が分かる書き方にします。事業の内容には「(業種)の事業者向け経営コンサルティング」のように、対象と中身を書いておくと後で説明しやすくなります。

青色申告は、帳簿をつける代わりに税金の面で特典がある仕組みです。2か月以内という期限は短いため、開業届と同じ日に出すのがおすすめです。

屋号・口座・契約書ひな形の準備

手続きと並行して、屋号・事業用の口座・契約書のひな形の3つを用意します。どれも最初の顧問先と契約する前に整えておきたいものです。

屋号は「誰の、何を支援するか」が伝わる名前にします。決めるときは、次の点を確かめましょう。

  • 同業の社長が見て、何の専門家か分かるか
  • 本業の会社名や店名と混同されないか
  • 同じ地域・同じ業種で、似た名前が使われていないか(検索して確認)
  • ドメインやSNSのアカウント名が取れるか

屋号は開業届に書く欄があり、空欄でも提出できます。後で法人化したとき、同じ名前を社名にできると集客の資産を引き継ぎやすくなります。

口座は、事業専用のものを1つ作ります。顧問料の入金と経費の支払いをまとめると、帳簿づけと確定申告が楽になります。屋号つきの口座を作れるかは金融機関ごとに条件が違うため、窓口で確認してください。

契約書のひな形には、最低限、次を入れておきます。

  • 業務の範囲(面談の回数・時間、連絡の手段、成果を約束しないこと)
  • 顧問料・支払日・支払方法
  • 契約期間・更新・解約の方法
  • 秘密の保持と、資料の扱い
  • 税務や法律の相談は扱わず、専門家を紹介すること

ひな形は弁護士に一度見てもらうと安心です。顧問料の決め方は顧問料の決め方と相場で解説しています。

税金の基本(所得税・個人事業税・消費税とインボイス)

個人でコンサルを始めると、主に所得税・個人事業税・消費税の3つが関わります。ここでは考え方の基本だけを押さえ、細かい判断は税理士に確認しましょう。

所得税は、顧問料などの売上から経費を引いた所得にかかります。毎年、確定申告で納めます。

個人事業税は、都道府県の税金です。法律で決められた業種が対象で、福岡県のページでは「コンサルタント業」が第3種事業に入り、税率は課税所得の5%と案内されています。所得から事業主控除の290万円(1年に満たない場合は月割)を引いた額にかかり、福岡県では8月と11月の2回に分けて納めます。

あなたの仕事が「コンサルタント業」に当たるかは、都道府県が実態で判断します。納める県の公式ページで業種と税率を確認し、迷えば県税事務所に聞きましょう。

消費税は、国税庁の案内では、基準期間(個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として納める義務が免除されます。ただし、前年1月から6月の売上などが1,000万円を超えると、免除されない場合があります。

インボイス登録は、顧問先が誰かで判断します。インボイス(適格請求書)は、取引先が消費税の計算で使う請求書です。顧問先の多くは課税事業者の会社なので、登録していないと、相手が仕入税額控除を受けにくくなることがあります。一方、登録すると、売上が1,000万円以下でも消費税の納税義務が生じます。

  • 顧問先が法人中心 → 登録を前向きに検討
  • 顧問先が免税の小さな事業者中心 → 登録しない選択肢も
  • 既存の会社で始める → 会社がすでに登録済みか確認

免税事業者が登録する場合は、登録希望日を書いて申請します。国税庁の案内では、経過措置により、提出日から15日以降の日を登録希望日にできます。申請はe-Taxか、書面の送付で行います。どちらが得かは売上や経費で変わるため、税理士に試算してもらってください。

資格が必要な業務との線引き

経営コンサルに必須の資格はありませんが、資格がないとできない業務があります。契約書と面談の両方で、扱わない範囲をはっきりさせておきましょう。

分野コンサルとしてできること(例)専門家に任せること(例)
税金数字の見方や、税理士に聞くべき論点の整理税務申告の代理、税務書類の作成、個別の税務相談(税理士)
法律契約で気をつけたい一般的な点の共有個別のトラブルの交渉、契約書の作成・審査の代行(弁護士)
労務採用・定着の工夫、評価の考え方社会保険・労働保険の書類作成や手続きの代行(社会保険労務士)
登記手続きの流れの説明登記の申請書類の作成・代理(司法書士)

一般的な例です。どこまでが資格の必要な業務かは個別に判断されるため、迷う場合は各専門家に確認してください。

特に注意したいのは、財務コンサルと組む場合です。資金繰りや数字の管理の助言は財務コンサルの役割として分けやすい一方、決算や申告の作業は税理士の業務です。誰がどこまで担当するかを、契約書と顧問先への説明の両方で同じ言葉にしておくと、誤解を防げます。

同業の社長からは、税金や労務の相談もよく来ます。そのときは「一般的な考え方」までにとどめ、具体的な判断は専門家につなぎます。信頼できる税理士や社労士と、紹介し合える関係を作っておくと安心です。

法人化のタイミングも、よく聞かれる論点です。所得が増えてきた、会社名で契約したい取引先が増えた、などが検討のきっかけになります。ただし、有利になる時期は所得や家族構成で変わるため、税理士と一緒に判断してください。

開業前の準備チェック表

最後に、開業前にやることを順番に並べます。上から順に片づければ、最初の顧問先との契約に間に合います。

  1. 個人で開業するか、今の会社の新事業にするかを決める(税理士に相談)
  2. 会社で始める場合は、定款の目的にコンサル業があるか確認する
  3. 個人で始める場合は、開業届と青色申告の承認申請書を出す
  4. 屋号を決め、ドメインとSNSの名前を押さえる
  5. 事業専用の口座と、帳簿をつける方法を用意する
  6. 個人事業税の業種と税率を、県の公式ページで確認する
  7. インボイス登録をするか決め、するなら申請する
  8. 契約書のひな形を作り、弁護士に確認してもらう
  9. 税金・法律・労務で頼れる専門家を決めておく
  10. 顧問料と、最初の面談の進め方を決める

商品・体制・集客・契約まで含めた20項目は、立ち上げ準備チェックリスト(PDF・無料)にまとめています。

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よくある質問

コンサルを始めるとき、開業届は出す必要がありますか?

個人で事業を始める場合は、国税庁の案内に沿って開業届を出します。期限は、事業を始めた日の属する年分の確定申告期限までと案内されています。今の会社の事業として始める場合は、個人の開業届は原則いりません。

開業届の業種欄には何と書けばよいですか?

職業欄は「経営コンサルタント」など、実際の仕事が分かる書き方にします。事業内容には「美容室向け経営コンサルティング」のように、対象と中身を書いておくと後で説明しやすくなります。

コンサル業に個人事業税はかかりますか?

福岡県のページでは、コンサルタント業は第3種事業で税率5%と案内されています。ただし、該当するかは都道府県が仕事の実態で判断します。納める県の公式ページで確認し、迷う場合は県税事務所に問い合わせてください。

インボイス登録はしたほうがよいですか?

顧問先が課税事業者の会社中心なら、登録を前向きに検討する人が多いです。登録すると売上が1,000万円以下でも消費税の納税義務が生じるため、売上と経費をもとに税理士に試算してもらってから決めてください。

法人化はいつ考えればよいですか?

所得が増えてきたときや、会社名での契約を求められることが増えたときが検討のきっかけです。有利になる時期は所得や家族の状況で変わるため、税理士と一緒に判断してください。

NEXT STEP

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参考にした資料

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