業界別(建設・工務店)

建設業の経験で、
コンサルとして独立する。

「どうやって職人が定着しているの?」「元請けの仕事はどう取ったの?」。同業の社長にそう聞かれるなら、その経験は顧問サービスの商品になります。この記事では、建設会社・工務店の社長が同業向けのコンサルを始めるときに決めることを、公的機関の情報とあわせて解説します。

執筆:長尾孝太郎(株式会社GSホールディングス 代表) / 最終更新: / 11分で読めます

この記事は、コンサル開業支援を提供する株式会社GSホールディングスが書いています。構成と下書きにAIを使い、公開前に数字と制度を出典の一次資料と照合しています。法令の個別の判断は専門家にご確認ください(編集方針)。

最初に結論

建設業の経験でコンサルを始めるなら、①自分が乗り越えた業界課題を選ぶ → ②顧問先にする会社を絞る → ③受注・採用・原価・元請け化のどれかで商品を作る → ④資金繰りと融資は財務コンサルと分担する → ⑤資格者の業務と線引きする → ⑥顧問料・面談の型と集客導線を作るの順に進めます。国土交通省の資料では建設業就業者の約4割が55歳以上で、令和6年4月からは時間外労働の上限規制も適用されました。人手と時間の制約の中で会社を回してきた社長の経験は、同業にとって相談する価値があります。

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建設業の経営経験が求められる理由

建設業の経営経験が求められるのは、多くの会社が「人が減る・時間が限られる・コストが上がる」という同じ課題を同時に抱えているからです。

ここでいう建設業のコンサルとは、建設会社・工務店の社長に対して、受注や採用、現場の管理などの経営課題を継続的に助言する顧問サービスのことです。公的機関が示している業界の状況は、次のとおりです。

項目公的機関が示している内容
就業者数477万人(令和6年)。ピークの平成9年は685万人
技能者数300万人(令和6年)。平成9年は455万人
年齢構成55歳以上が36.7%(約4割)、29歳以下が11.7%(約1割)
労働時間令和6年4月1日から時間外労働の上限規制が適用。違反は罰則の対象
資材価格令和6年12月13日から、資材高騰などの「おそれ情報」を契約前に通知し、変更協議を申し出られる仕組みが施行

出典:国土交通省「国土交通省の取組について」(総務省「労働力調査」をもとに作成)、厚生労働省「建設業の時間外労働の上限規制」、国土交通省関東地方整備局「建設業の時間外労働規制まとめサイト」、福岡県「資材価格高騰等における価格転嫁・工期変更の協議の円滑化について」。

厚生労働省のページによると、上限規制の中身は「時間外労働は年720時間まで」「時間外と休日労働の合計は月100時間未満」「2〜6か月平均で80時間以内」「月45時間超は年6回まで」です。災害の復旧・復興の事業には一部適用されない例外もあります。

つまり、若い人が入りにくく、残業で吸収することもできず、資材の値上がりにも向き合う必要があります。この状況で受注を確保し、職人を採用・定着させ、利益を残してきた社長の実体験は、教科書にはない「現場で効いたやり方」として求められます。

顧問先になる建設会社・工務店はどんな会社か

顧問先にしやすいのは、あなたが数年前に通ってきた段階の会社です。悩みの中身が分かり、話がすぐ通じるからです。

たとえば、次のような会社が考えられます。

  • 下請け中心で、単価や工期を自分で決められない
  • 社長が現場と見積もりを抱え込み、経営の時間が取れない
  • 求人を出しても若い職人が来ない、来ても続かない
  • 工事は忙しいのに、終わってみると利益が残っていない
  • 上限規制が始まり、今の工程の組み方では回らなくなってきた
  • 住宅の新築に頼っていて、リフォームや地域の直接受注を増やしたい

対象は「建設業の社長全員」ではなく、「(地域・業種・規模)の会社で、(悩み)を抱える社長」と1文で言える形に絞ります。たとえば「社員10人前後の工務店で、下請けから直請けに切り替えたい社長」のようにです。

同じ商圏の競合を顧問先にすると、お互いに話しにくくなります。商圏が重ならない地域や、オンラインでの顧問を中心にする方針も考えておきましょう。絞り方の考え方は同業向けコンサルの始め方でも解説しています。

商品の作り方:受注・集客/採用と定着/原価・工程管理/元請け化

商品は、あなたが数字で結果を示せるテーマを1つ選び、期間ごとにやることを決めて作ります。全部を扱うより、得意な1つで始めるほうが伝わります。

テーマ顧問で扱う内容の例棚卸ししておく自分の経験
受注・集客施主からの問い合わせの集め方、ホームページや施工事例の見せ方、見積もりから契約までの流れ問い合わせ数・成約率の変化、何を変えたか
採用と定着求人の出し方、見習いの育て方、評価と給与の決め方、休みの取り方採用人数と定着の変化、教育で使った資料
原価・工程管理実行予算の立て方、工事ごとの粗利の見方、工程の組み方と残業の減らし方粗利率や残業時間がどう変わったか
元請け化・直請け化下請けから元請けへ、または施主から直接受ける形への切り替えの段取り切り替えにかかった期間と、売上構成の変化

元請け化とは、発注者から直接工事を請け負う立場になることです。直請け化は、工務店などが施主から直接仕事を受ける割合を増やすことを指します。どちらも単価と工期を自分で決めやすくなる反面、集客・見積もり・施工管理の仕組みが必要になります。

たとえば「採用と定着」を選んだ場合、商品は次のように組み立てられます。

  • 最初の1か月:辞めた人の理由と今いる職人の声を聞き、課題を整理する
  • 2〜3か月目:求人文、面接の質問、入社後半年の育成表を一緒に作る
  • 4か月目以降:評価の基準と休みの取り方を整え、毎月の数字で振り返る

「原価・工程管理」なら、上限規制に合わせた工程の組み方は多くの会社の関心事です。ただし、36協定(時間外労働のための労使協定)や就業規則の作成そのものは社会保険労務士の業務です。顧問は「現場の段取りをどう変えたか」という経験の共有にとどめ、書類は専門家につなぎます。

このように期間ごとに何をするかを決めておくと、顧問先は「何にお金を払うのか」が分かり、契約を判断しやすくなります。

資金繰り・融資は財務コンサルと分担する

資金繰りや融資などお金の部分は、財務コンサルと分担するのがおすすめです。現場と営業は社長が、数字は財務の専門家が見る形にすると、顧問先の安心感が増します。

建設業はお金の出入りに時間差が出やすい業種です。材料費や外注費を先に払い、工事代金は後から入る、という流れが多いからです。顧問先からは、次のような相談が来やすくなります。

  • 大きな工事を受けたいが、着工から入金までの資金がもつか
  • 資材が値上がりしたとき、利益がどれだけ減るか
  • 重機や車両を買うか、借りるか
  • 銀行に融資を申し込むとき、何を準備すればよいか

「この工事は段取りで何日縮められるか」「この単価で職人が集まるか」は、社長の経験が生きる部分です。「その工事で資金繰りが回るか」「融資をどう組むか」は、財務コンサルの得意な部分です。

役割分担は、始める前に書面で決めておきます。担当範囲、顧問料の分け方、誰が請求するか、顧問先への説明のしかたの4つが最低限です。組む相手の探し方や契約の決め方は財務コンサルとの提携方法で解説しています。

建設業許可・経審・入札など、資格が必要な業務との線引き

建設業の顧問では、許可や審査の「書類づくりと手続き」には踏み込まず、経営の助言に絞ることが大切です。法令が絡む分野は、資格者の業務と重なりやすいからです。

まず、制度の基本を押さえておきます。

  • 建設業許可:建設業を営むための許可です。国土交通省関東地方整備局のページでは、軽微な建設工事(請負代金が500万円未満など)のみを請け負う場合を除き、許可が必要とされています。営業所が2つ以上の都道府県にあれば国土交通大臣、それ以外は都道府県知事の許可です。
  • 経営事項審査(経審):公共工事の入札に参加するための審査です。同局のページでは、国や地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする場合に受けなければならない審査とされています。

そのうえで、次のように線を引きます。

顧問として扱える例資格者につなぐ例
許可や公共工事を目指すかどうかの経営判断、それに向けた体制づくりの考え方建設業許可・経審の申請書類の作成や提出の代行(行政書士など)
入札に参加するかどうかの判断、自社の得意分野の整理契約書の内容の法的な判断や、トラブル時の交渉(弁護士)
工程の組み方や休みの取り方など、現場の段取りの経験共有36協定・就業規則の作成、労務の手続き(社会保険労務士)
原価や粗利の見方、数字の振り返り税務申告や個別の税務判断(税理士)

線引きの例です。個別のケースで判断に迷うときは、各資格者に確認してください。

制度は改正されることがあります。顧問先に説明するときは、国土交通省や都道府県の最新のページを一緒に確認する習慣をつけておくと安心です。

顧問料・面談の型と、顧問先を集める導線

顧問料は、月の面談回数・面談以外の連絡・毎月渡す資料・契約期間の4つを決めてから考えると決めやすくなります。

建設会社・工務店の顧問なら、たとえば次のような形が考えられます。

  • 月1〜2回のオンライン面談(受注状況・粗利・人員・残業時間を一緒に見る)
  • 面談の間は電話やLINEで相談を受け、返信の目安を決めておく
  • 毎月、数字の振り返り表と次の1か月の取り組みを渡す
  • 最初の契約期間は、成果が見えやすい半年〜1年を目安に決める

面談は「現状を聞く → 数字を一緒に見る → 次の1か月の取り組みを決める → 前回を振り返る」の順でそろえると、顧問先が増えても質が落ちにくくなります。顧問料の相場と決め方はコンサルの顧問料の決め方と相場にまとめています。

顧問先は、次の流れで集めます。紹介だけに頼らず、知らない社長からも相談が来る形を作るためです。

  1. 記事・広告:「職人 定着しない」「下請けから元請け なるには」など、社長が検索する悩みに答える記事を書きます。
  2. 無料診断:受注・採用・原価管理などを10問ほどで確かめ、課題を見える化します。
  3. LINE:診断結果と課題に合った情報を届け、すぐに相談しない人ともつながり続けます。
  4. 面談:診断結果を一緒に見て、最初の3か月の取り組みを提案します。その場で契約を迫らないことが信頼につながります。

集客方法ごとの向き不向きはコンサルの集客方法の比較、独立の進め方はコンサルとして独立する方法で解説しています。自分の準備状況は10問の準備度診断で確かめられます。

ここまでは自分で進められます。一方で「記事・LP・無料診断・LINE・面談予約・広告運用まで、集客の仕組みはまとめて任せたい」という方向けに、当社(株式会社GSホールディングス)では、財務コンサルとの立ち上げ支援と集客システムの構築・運営をセットにしたサービスを月30万円〜(税別、広告費は別)でご用意しています。30分のオンライン無料相談は担当者が対応し、その場で契約を求めることはありません。

よくある質問

建設業のコンサルタントになるには資格が必要ですか?

経営コンサルに必須の資格はありません。ただし、建設業許可や経営事項審査の申請書類の作成・提出代行、36協定や就業規則の作成、税務や法律の個別判断は資格者の業務と重なります。顧問は経営の助言に絞り、必要に応じて行政書士・社会保険労務士・税理士・弁護士につないでください。

工務店の社長を続けながらコンサルを始められますか?

始められます。ただし、面談と顧問先への対応に使う時間を月単位で確保する必要があります。現場や見積もりを任せられる人がいると進めやすくなります。

建設業の顧問料は月額いくらが目安ですか?

面談の回数、面談以外の連絡、毎月渡す資料、契約期間によって変わります。まずこの4つを決めてから金額を考えると、顧問先にも説明しやすくなります。相場の考え方は顧問料の解説記事にまとめています。

職人の採用と定着だけをテーマにしたコンサルでも成り立ちますか?

テーマを1つに絞ることはむしろ伝わりやすくなります。採用人数や定着の変化など、自分の会社で示せる結果があるテーマを選び、期間ごとにやることを決めて商品にしましょう。

時間外労働の上限規制について顧問先に助言してよいですか?

工程の組み方や休みの取り方など、自社で実際に変えた段取りの経験を共有することはできます。36協定の締結や就業規則の作成、法令の個別判断は社会保険労務士などの専門家に確認してもらう形が安心です。

NEXT STEP

業界の経験に、財務の目を。信頼されるコンサル事業を、2人で始める。

現場は社長、数字は財務コンサル。2店舗目や資金繰りまで相談に乗れる顧問サービスにして、顧問先を集める仕組みと立ち上げの助言は当社が担当します。月30万円〜(税別)・広告費は別。事例づくりにご協力いただける先着3社は、2年契約で初期費用0円です。

参考にした資料

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